よくある反論の例
養育費の請求をする際に、その相手方本人からよく出される反論として「面会させてくれたら養育費を支払ってやる」といったものがあります。また、「今後一切養育費は請求しないから、子供にも会わないでほしい」との主張を耳にすることもあります。
反論は正しいのか?
これらの主張は、いずれも、法律的な考え方から言えば、到底通用するものではありません。養育費は放棄できない
まず、養育費については、親権者・監護者がその請求を予め放棄する旨の意思表示をしていたとしても、放棄することは許されません。その理由は、養育費は本来子供自身のための権利であって、親の都合で放棄することは出来ないと解されているからです。
面会交流権も放棄できない
次に、面会交流権についてですが、これも子供自身のための権利であると理解されています。つまり、子供の健全な発育のために必要であるからこそ、面会交流という制度が設けられているのだという理解です。いずれも放棄できない
このように、養育費・面会交流のいずれも子供自身のための権利であることからすれば、親の都合・判断においてこれらの権利行使を妨げることは出来ないのです。ではどうするか?
養育費の支払いを求める調停を申し立てられた人が、その調停の中で面会交流について言及することがありますが、理屈としては、面会交流に関する調停を別途申し立てるべきであるということになります。もっとも、面会交流に関する調停を別途申し立てた場合には、先に申し立てられている養育費に関する調停と同時進行(同じ調停期日という意味)で扱われる可能性が高いと思います。
その辺りについての配慮は、裁判所もしてくれるようです。