2013年9月9日月曜日

親権者・監護者指定に関する若干のまとめ

大阪の弁護士中尾慎吾です。親権者・監護者指定というのは離婚に際して問題になりやすい事項ですので、離婚実務においてどのような扱いとなっているかを簡単にまとめておきます。


大前提

協議離婚に際しては、父母の一方を親権者と定めることが必要である(民法819条1項)。調停離婚の場合も同様。

裁判上の離婚の場合、裁判所が父母の一方を親権者と指定する(民法819条5項)。

監護者の決定は、離婚後に親権者以外の親を監護者(同居する親)とする場合にのみ問題となる。親権者とは異なり、必ずしも決めておかなければならないものではない。

親権者の判断基準

1 未成熟子の福祉


未成熟子(子供)の利益を第一に考えた上で親権者を定めるべきであり、親のために親権者を定めるわけではない。子供にとって何がベストであるかという視点から親権者を定めることになる。面会交流についても同様であり、子供の利益を第一に考えなければならず、面会交流権を親のための権利であると解釈することは出来ない。

2 未成熟子の意思


ある程度精神的にも成熟しつつある子供の場合、特に意思が尊重されるべきである。精神的に成熟しておれば、子供が自分の意思で非親権者に会いに行くことも可能であろうし、裁判所や大人が過度に干渉することは望ましくない。

問題は、精神的に成熟しているとはいいがたい子供の場合である。具体的に何歳になれば精神的に成熟しているといえるかという問題があるが、個別具体的に分析すべきであって、一般論としての年齢を論じることは出来ない。

裁判所調査官による調査などを通じて、個別具体的にその子供の精神的な成熟性を分析しながら、子供の意思をどのような形で反映するかということを慎重に検討すべきである。

3 監護状態の継続性


家裁実務において、かなり重視される要素である。現状を変更することが子供に対して与える影響を考えた時に、現状を維持することが子供にとって利益となると判断されることが多い。

もっとも、違法な手段により子供の監護状態を奪ったような場合には、以降の監護状態を継続性あるものとして認められることはないといってよい。違法な手段を正当化することは、裁判所としては、基本的にあり得ない。例外がないとまではいえないが、違法な手段により子供の監護状態を奪うことは、親権を獲得したいと考えている親にとってプラスに働くことは基本的にあり得ない。

問題は、違法といえるか否かという線引であろう。刑法の規定に触れるような方法は論外として、刑法の規定に触れないような手段であってもなお違法と評価される場合があるのかということは、検討課題として重要であると思われる。

4 母親優先の原則


子供が乳幼児の場合には、母親を親権者として指定する判例が多い。

もっとも、最近では父親を親権者として指定する例も少なからず出てきており、時代の変化とともに家裁実務の扱いも変化してきているといえそうである。

実際に、私が父親側の代理人を務めた離婚調停において、父親を親権者とする内容で調停が成立したことがある。当初は親権者指定も争点となっていた調停であるため、代理人として慎重に調停における話を進める必要があった。

父親だから絶対に親権者になれないということはないし、特に時代が変化してきている現状において、家裁実務がなお流動的であることは頭に入れておきたい。

親権者と監護者の分離

両親の協議により親権者と監護者を分離するということは、解決策として十分にあり得る。親権者と監護者の分離を禁止する規定も、現状において存在しない。

もっとも、裁判離婚になった場合において、親権者と監護者の分離を認めた例というのは、極めて少ないと思われる。家裁実務としては、親権者と監護者を分離する場合というのは、極めて例外的な場合に限られるべきだと考えているようである。

日本において離婚後の共同親権が認められていない以上、親権者と監護者を分離することは中途半端な親権状態を生み出すことにも繋がりかねず、家庭裁判所としては受け入れがたいのだろうと考えられる。

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