2014年6月14日土曜日

【判例紹介】広島高等裁判所判決/平成18年(ネ)第564号 【判決日付】 平成19年4月17日

【判示事項】 不貞行為及びその結果婚姻関係が破綻したことによる精神的苦痛についての慰謝料請求事件の判決の既判力の範囲
【判決要旨】 妻から夫及び夫の不貞行為の相手方に対する慰謝料請求事件(前訴)の確定判決がある場合,前訴は,不貞行為及びその結果婚姻関係が破綻したことによる精神的苦痛に対する慰謝料を請求するものであり,離婚によって妻が被る精神的苦痛については賠償の対象とされていないから,前訴の訴訟物と妻からの離婚請求に伴う夫及び夫の不貞行為の相手方に対する慰謝料請求(後訴)の訴訟物とは異なり,前訴の既判力は後訴に及ばない。


主   文

 1 一審被告らの本件控訴に基づき原判決を次のとおり変更する。
 (1) 一審原告と一審被告Bとを離婚する。
 (2) 一審被告Bは,一審原告に対し,
  ア 857万5382円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  イ ○○から退職手当を支給されたときは,950万円及びこれに対する同支給日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 (3) 一審原告の一審被告らに対する慰謝料請求をいずれも棄却する。
 2 一審原告の本件控訴をいずれも棄却する。
 3 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを2分し,その1を一審被告Bの負担とし,その余を一審原告の負担とする。

       事実及び理由

第1 当事者の求めた裁判
 1 一審原告
  (1) 原判決を次のとおり変更する。
   ア 一審原告と一審被告Bとを離婚する。
   イ 一審被告Bは,一審原告に対し,
    (ア) 900万9026円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
    (イ) ○○から退職手当を支給されたときは,950万円及びこれに対する同支給日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
   ウ 一審被告らは,一審原告に対し,各自,1100万円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  (2) 一審被告らの各控訴をいずれも棄却する。
 2 一審被告B
  (1) 原判決1項を除き取り消す。
  (2) 一審原告の金員請求をいずれも棄却する。
  (3) 一審原告の控訴を棄却する。
 3 一審被告C
  (1) 原判決を取り消す。
  (2) 一審原告の請求を棄却する。
  (3) 一審原告の控訴を棄却する。
第2 事案の概要
   事案の概要は,以下のとおり改めるほかは,原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」に記載のとおりであるから,これを以下に引用し,当審において変更した箇所をゴシック体太字で記載する。
   本件は,一審原告が,夫である一審被告Bに対し,民法770条1項5号に基づく離婚及び離婚に伴う財産分与を求め,かつ,一審被告らに対し,一審被告らの不貞関係によって一審原告が離婚せざるを得なくなったことにより精神的苦痛を受けたとして,不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
   原審は,一審原告と一審被告Bを離婚するとともに,財産分与として,一審被告Bに対し,900万9026円の即時支払い及び一審被告Bが将来退職手当を受給した時に950万円を支払うことを命じ,かつ,一審被告らの不法行為に基づく損害賠償義務を認めた。これに対し,一審原告が不法行為に基づく損害賠償額について不服申立てをし,また,一審被告Bは,離婚の点を除いて控訴し,一審被告Cも不服申立てをした。
 1 前提となる事実
  (1) 一審原告と一審被告Bは,昭和49年×月×日に婚姻した夫婦であり,長女D(昭和50年×月×日生)をもうけた(甲1,弁論の全趣旨)。
  (2) 一審被告Bは,○○に勤務する○○○である(甲7,乙9,弁論の全趣旨)。
  (3) 一審原告と一審被告Bは,昭和52年8月×日,自宅である別紙物件目録記載の不動産(以下「本件不動産」という。)を一審被告B名義で取得したが,一審被告Bは,平成16年6月×日,本件不動産を2400万円で売却した。上記売却時における住宅ローンの残高は,□□につき523万2493円,△△につき74万9455円であり,いずれも売却代金で返済した(甲4ないし6,乙10,11,弁論の全趣旨)。
  (4) 一審被告らは,平成13年10月ころ知り合い,平成14年5月ころから,肉体関係を持つようになった。一審原告は,一審被告らに対し,共同不法行為に基づき,口頭弁論終結時までの不貞行為により発生した慰謝料600万円と遅延損害金の支払いを求める訴訟(広島地方裁判所平成16年(ワ)第××号。以下「前訴」という。)を提起したところ,平成16年12月×日に第一審の口頭弁論が終結し,平成17年3月×日,一審被告らに対し,連帯して300万円及びこれに対する上記口頭弁論終結日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを命ずる判決がなされた。一審原告は,上記慰謝料額に不服があるとして控訴したが,同年10月×日,控訴棄却の判決がなされ,確定した(甲2,3,弁論の全趣旨)。
 2 争点及び当事者の主張
  (1) 争点1
    本件訴訟における一審原告の一審被告らに対する慰謝料請求が,前訴の既判力ある判断に抵触するか。また,慰謝料請求が許容される場合の慰謝料額。
   ア 一審被告らの主張
     離婚に伴う慰謝料請求権は,(1)離婚原因についての慰謝料請求権,(2)離婚自体についての慰謝料請求権,(3)経済的に弱い立場にある一方配偶者の自立援助の3つに分類される。(削除)
     ところで,一審原告は,前訴の本人尋問において離婚意思があることを明言し,それを受けて,前訴判決は,口頭弁論終結時には婚姻関係が既に破綻しており,早晩離婚に至ることは確実である旨判断し,それを前提にした慰謝料額を認容しているから,前訴判決は,(1)の離婚原因についての慰謝料請求権のみならず,(2)の離婚自体についての慰謝料請求権を前提とした判断をしているというべきである。
     そうすると,本件訴訟における一審原告の慰謝料請求のうち,一審被告らに対する(1)の離婚原因についての慰謝料請求権,及び,一審被告Bに対する(2)の離婚自体についての慰謝料請求権は,前訴の訴訟物と同一であり,前訴の既判力ある判断に抵触することになる。なお,一審原告は,長期間,△△で△△△として稼働し,収入を得ており,また,財産分与も相当額に及ぶことが見込まれるから,(3)の扶助的性格を有する慰謝料を考慮する必要はないし,前訴で認容された慰謝料とは別に本訴において慰謝料を認容しなければならない必要性もない。
    (削除)
   イ 一審原告の主張
     一審被告らの主張を争う。
     前訴においては,一審原告が婦権を侵害され,かつ,離婚まで至らない精神的苦痛が対象とされており,(2)の離婚自体についての慰謝料請求権は訴訟物となっていないのに対し,本件訴訟では,まさに離婚自体についての慰謝料請求権が訴訟物となっているから,前訴とは訴訟物が異なり,前訴の既判力に抵触するものではない。
     また,一審被告Bには,○○○として安定した収入があり,かつ,多額の退職手当が見込まれる一方,一審原告の△△での就業はいつ打ち切られるかわからない不安定なものである上,収入も少ないから,(3)の扶助的性格を有する慰謝料についても一定の金額が認められなければならない。
     一審被告らの不貞行為は,期間が長く,また,一審原告に発覚した後も継続されたもので,悪質性が高いものであり,一審原告が受けた苦痛の程度は著しく高い。また,一審被告Bは,離婚によって一審原告を経済的な苦境に立たせたものであり,その点でも悪質である。
     よって,慰謝料の金額は1100万円が相当である。
  (2) 争点2
    一審原告が一審被告Bに対して有する離婚に伴う財産分与請求権の内容
   ア 一審原告の主張
     一審原告と一審被告Bは,婚姻後に両者が協力して,本件不動産を一審被告B名義で取得したが,本件不動産は,平成16年6月×日に2400万円で売却された。そして,売却当時残っていた前記1(3)の各借入金を上記売却代金から差し引いた1801万8052円が夫婦の共有財産となる。
     また,一審被告Bは,○○○として長年勤務しており,多額の退職手当を受給することが見込まれ,退職手当が給料の後払い的性格を有することや,一審原告の長年の寄与・貢献があって初めて一審被告Bが○○○としての職務に従事することができたこと等の事情に照らせば,上記退職金は夫婦の共有財産となる。
     よって,一審原告に対する財産分与額は原判決認定額を下回ることはない。
   イ 一審被告Bの主張
     本件不動産の売却代金に関しては,一審原告主張以外にも原判決添付の別紙自宅土地建物売却計算書記載の必要的支出がなされており,夫婦共有財産の金額は1641万1190円である。そして,本件不動産の取得は,一審被告Bの労働に負うところが多いことに鑑みれば,多くても上記金額の3割が分与されれば足りる。
     また,一審被告Bが退職手当受給権を有することは認める。現在の退職手当見込額は原判決添付の退職金計算書記載のとおりであるが,○○○の退職金等は,□□□や□□等によって今後大幅に減額される見込みであり,財産分与の額の決定においてはこの事情も考慮されるべきである。
     そして,将来の退職手当が財産分与の対象になるとしても,勤続期間に婚姻期間が占める割合で分与対象額を算定すべきであるし,その取得が一審被告Bの労働に負うところが多いことに鑑みれば,その3割が分与されれば足りる。
第3 当裁判所の判断
 1 事実の認定
   事実関係は,以下のとおり改めるほかは,原判決記載(5頁25行目から7頁5行目まで)のとおりであるから,これを以下に引用し,当審において変更した箇所をゴシック体太字で記載する。
  (1) 証拠(後掲)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
   ア 一審被告Bは,昭和48年4月から1年間,△△△に勤務した後,昭和49年4月から現在まで,○○に勤務している。一審原告は,一審被告Bと婚姻後は専業主婦として家事と育児に専念していた。一審原告と一審被告Bは,婚姻以来同居して平穏な婚姻生活を営み,昭和52年には,自宅である本件不動産を一審被告B名義で取得した(甲11,一審原告本人,一審被告本人)。
   イ 一審原告は,平成14年1月ころから,一審被告Bが不貞をしているのではないかと疑うようになり,同年6月×日ころ,一審被告Bを問い詰めたところ,一審被告Bは不貞を認めた。一審原告は,同年8月×日,一審被告Bが不貞相手である一審被告Cを連れて自宅に帰ったことを契機として,長女とともに自宅を出て,一審被告Bと別居するようになった(甲7,10,11)。
   ウ 一審被告Bは,同年12月×日,自宅において一審原告と話し合いをした際,自宅である本件不動産を売却する予定であることを伝えたが,一審原告は,売却に同意はしなかった。一審原告は,平成15年1月上旬,一審被告Bに対する一審被告Cとの不貞行為による慰謝料請求権を被保全権利とする本件不動産の仮差押えを申し立て,その決定を得た(甲10,11,一審原告本人)。
   エ 一審被告Bは,仮差押解放金600万円を供託して,上記仮差押えの執行の取消しを得て,平成16年6月×日付けで本件不動産を2400万円で売却した。一審被告Bは,上記売買契約の契約書に1万5000円の印紙を貼付するとともに,司法書士に対する報酬等3万3287円,及び,仲介手数料81万9000円をそれぞれ支払った(甲4,乙2,3,8)。
   オ 一審原告と一審被告Bはいずれも,平成16年12月×日に行われた前訴の第1審における本人尋問において離婚を望む旨表明し,第1審の口頭弁論終結日である同日までには,一審原告と一審被告Bの婚姻関係は破綻に至った。一審被告らは,現在まで同居を継続している。一審原告は,平成18年4月×日,本件訴訟を提起した(甲10,11,当裁判所に顕著な事実)。
   カ 前訴においては,一審原告は,口頭弁論終結時までの不貞行為による慰謝料を請求した。前訴第一審判決は,一審被告Bの2度にわたる不貞行為により,一審原告と一審被告B間の婚姻関係が急速に破綻に至ったことを判示した上,婚姻期間が長期間であること,婚姻関係破綻に至る経緯,帰責事由の重大さなどを総合的に考慮して300万円の慰謝料を認容した。また,前訴の控訴審も,第一審判決が指摘する事情を考慮したほか,離婚をしていないことも考慮して第一審の認容額を相当と判断した。(甲2,3)
   キ ○○○の退職手当の計算方法は,退職時の給料月額(削除)×支給率(削除)とされ,支給率は,勤続年数や退職理由によって決められており,勤続年数は,○○○となった日の属する月から退職した日の属する月までであり,1年未満の端数は切り捨てるものとされている。一審被告Bの平成16年12月における給料月額は44万7168円である。また,一審被告Bの現在(当審口頭弁論終結日)までの勤続年数は32年(1年未満切り捨て)であり,自己都合により退職する場合の支給率は43.75である(乙4,9)。
 2 争点(1)(慰謝料請求につき前訴の既判力,金額)について
  (1) 既判力について
    本件における一審原告の慰謝料請求は,夫である一審被告Bと一審被告Cの不貞関係により離婚せざるを得なくなったことによる精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを求めるものである。
    他方,上記認定のとおり,前訴は,一審被告Bと一審被告Cとの不貞行為及び,その結果婚姻関係が破綻したことによる精神的苦痛に対する慰謝料を請求するものであり,一審原告と一審被告Bが離婚したことによって一審原告が被る精神的苦痛については,賠償の対象とされていない。
    そうなると,本件における慰謝料請求権と前訴の慰謝料請求権は訴訟物が異なるものといわざるを得ず,前訴の既判力は,本件の慰謝料請求には及ばないと解するのが相当である。
  (2) 損害額について
    前記のとおり,前訴は,不貞行為自体によって被る精神的損害だけでなく,不貞行為によって婚姻関係が破綻したことによる精神的損害の賠償を求めるものである。
    平成16年12月×日に言い渡された前訴第一審判決では「(双方とも)離婚を望んでおり,早晩離婚に至ることは必至の状況にある。」と判断され,また,前訴控訴審判決時では,一審原告が一審被告Bと別居してから約3年が経過していた。これらの事実からすると,前訴の控訴審口頭弁論終結時には一審原告と一審被告Bとの婚姻関係は完全に破綻しており,回復の見込みはなかったというべきである。そして,前訴判決では,このような事実関係を前提として一審原告が受けるべき慰謝料額の判断が行われている。
    したがって,一審原告が本訴において請求することができるのは,完全に形骸化した婚姻関係を法的に解消したことによって被る新たな精神的損害のみであるところ,上記の事情からすると,一審原告に新たな精神的損害が生じたと認めることはできない。
    よって,一審原告の慰謝料請求は理由がない。なお,離婚に伴う慰謝料に扶養的要素を認めるべきか否かについては問題があるが,仮に扶養的要素を認めることができるとしても,本件においては,一審原告は,別途,財産分与を申し立てており,これを認めるべきであるから,慰謝料において扶養的要素を考慮する必要はない。
 3 争点(2)(財産分与)について
   以下のとおり改めるほかは,原判決判示(8頁9行目から11頁7行目まで)のとおりであるから,当審における変更箇所をゴシック体太字で記載して引用する。
  (1) 不動産の売却代金について
   ア 一審被告Bが平成16年6月×日付けで売却した本件不動産は,一審原告と一審被告Bが婚姻中に取得した夫婦共有財産ということができる。
     そして,(削除)売却当時の住宅ローン残額(□□につき523万2493円,△△につき74万9455円)は控除すべきである。
   イ また,上記認定のとおり,本件不動産を売却した際,その経費として,契約書に貼付した印紙代1万5000円,司法書士に対する報酬3万3287円及び仲介手数料81万9000円(合計86万7287円)を支払っているが,これらは本件不動産の売却代金から控除されるべきである。
     上記認定の事実によれば,本件不動産の売却は,一審被告Bが,一審原告の意向に反して行ったものである。しかし,一審被告Bによる売却処分は違法なものではないから,売却のための経費の控除を許さない理由にはなり得ないというべきである。
     よって,本件不動産の売却代金のうち,財産分与の対象となる財産は1715万0765円となる。
   ウ 一審被告Bは,一審原告の財産分与割合が3割を超えることはないと主張する。
     夫婦が婚姻期間中に取得した財産は,夫婦の一方の所得活動のみによるものではなく,他方の家計管理や家事・育児等を含む夫婦共同生活のための活動の成果として得られたものというべきであるから,妻が専業主婦の場合の財産分与の判断においても,家事従事による寄与を正当に評価する必要がある。
     本件においては,一審原告は,婚姻後,一審被告Bとの同居期間中,仕事に就いたことはないが,専業主婦として家事や育児に従事し,夫婦の共同生活の維持や一審被告Bの所得活動による財産形成に寄与してきたことが認められる。これらの事情のほか,扶養的要素も考慮すれば,財産分与割合は2分の1とするのが相当である。
   エ よって,一審被告Bは,一審原告に対し,離婚に伴う財産分与として,本件不動産の売却代金のうち1715万0765円の2分の1に相当する857万5382円を離婚時に支払うべきである。
  (2) 退職手当について
   ア 一審被告Bが将来定年により受給する退職手当額は,一審被告Bが定年まで勤続することを前提として初めて受給できるものである上,支給制限事由(乙4)に該当すれば退職手当を受給できず,また,退職の事由の如何によって受給できる退職手当の額には大きな差異がある(乙4)から,現時点において,その存否及び内容が確定しているとは言い難く,一審被告Bの定年時における退職手当受給額を現存する積極財産として財産分与の対象とすることはできないものというべきである。
     他方,一審被告Bは,現時点において自己都合により退職した場合でも退職手当を受給できるところ,その額を証拠上認められる一審被告Bの最近の給与月額を基礎として計算すると,勤続年数32年(昭和49年4月から当審口頭弁論終結日まで。1年未満の端数は切り捨てる。)の自己都合による退職の場合の支給率は43.75であるから,その額は1956万3600円(計算式:447,168円×43.75)となる。
     そして,一審被告Bが一審原告と婚姻した昭和49年×月×日から別居した平成14年8月×日までの約28年間,一審被告Bが○○の職員として勤務したことについては,一審原告の妻としての協力があったことは明らかであるから,一審被告Bが自己都合により退職した場合でも上記金額の退職手当を受給できる地位にあることは,それを実際に受給できるのが将来の退職時ではあるものの,これを現存する積極財産として財産分与の対象とするのが相当であり,上記金額のうち婚姻関係に基づく同居期間に対応する額である1711万8150円(計算式:19,563,600円÷32年×28年)の範囲で財産分与の対象になるものというべきである。
   イ 前記(1)で述べたとおり,本件において,一審原告の妻としての寄与割合は2分の1とみるべきところ,本件に顕れた諸般の事情並びに扶養的要素を考慮すれば,一審被告Bが一審原告に対して支払うべき財産分与額は950万円とするのが相当である。
   ウ なお,一審被告Bに対する退職手当は,退職時に支給されるものであるから,一審原告に対する上記退職手当に由来する財産分与金の支払いは,一審被告Bが将来退職手当を受給したときとするのが相当である。
     将来,退職手当の額が現在の水準よりも低くなる可能性があることは否定できないが,このような流動的な事情を考慮するのは相当とは思われず,上記判断を左右するに足りない。
   エ よって,一審被告Bは,一審原告に対し,離婚に伴う財産分与として,950万円を退職手当受給時に支払うべきである。
 4 まとめ
   以上によれば,一審原告の離婚請求は理由があり,一審被告Bは,財産分与として,離婚時に857万5382円を,退職手当受給時に950万円を支払うべきであるが,一審被告両名に対する慰謝料請求は理由がない。
第4 結論
   以上のとおりであるから,一審被告両名の本件控訴に基づき,原判決を一部変更し,一審原告の本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。(裁判長裁判官 加藤 誠 裁判官 太田敬司 金村敏彦)

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